今日の親仁(オヤジ)ギャグ

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1月25日(日)-Block Vertebrae(ブロック脊椎)-

 犬・猫の病気の数は一体全体いくらぐらいあるのだろうか。真剣に考えたことがないので、いつか時間があるときに科目ごとの有名成書の索引を調べて、カウントしなければならない。
 病気は外耳炎や下痢など、毎日のように嫌になるほど診察しなければならないものもあれば、月に1例、半年に1例、年に1例、・・・・・というように、疾患名によりバラバラである。よって、10年に1回しか遭遇しない症例もあり、生涯1度もお目にかかれない症例も少なくない。このたび夜間病院で学生時代を含むこの30年の獣医人生ではじめて遭遇できた症例があった。
 その病気とは表記の病名で、胎仔期での脊椎の分離が正常に行われず、くっついた状態を呈する。先天性疾患であり、後天的に癒合が起こったものではない。”normal”block vertebrae とは、仙骨のことで、3つの椎体(仙椎)がくっついたままなのが正常である。骨盤との安定した固定のためであろうが、不思議である。
 フレンチ・ブルドッグによく見られる(正確にはほとんどの個体で大小の異常あり)「Hemivertebrae」も先天性疾患で、これは、長方形であるべき脊椎が蝶々のような形になり、変形が重度なものでは背部痛や歩様異常などの神経症状を呈する。
 我々が「見たこともない病気」に遭遇した場合、”どげんかせんといかん”という、職業気質と言うか、診断本能が喚び起こされる。が、心配御無用、「Textbook of Veterinary Internal Medicine」という心強い味方(御方)がある。小生の経験では、迷って壁にぶつかった時、この成書に記載が無かった例(ためし)がない。
 しかし、いつも思い知らされるが、受精から細胞分裂、そして誕生、一体どのようなメカニズムで分化が進展していくのか。遺伝子と神の成せる業には敬服の至りである。家族をはじめ、ちょっとの巡り合い(邂逅)まで大切にせねば、罰が当たりそうである。



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1月24日(土)-屋号の無い日本酒バー-

 昨夜は、とあるビルの4Fにある「屋号の無い・知る人ぞ知る居酒屋」へ出かけた。出入りの薬問屋との「二人新年会」である。階には10軒ほどのスナックがあるが、この店だけ看板に屋号が書かれていない。「舟歌」ではないが、白々と灯りが灯っているだけである。
 店主は宮崎には珍しい気合の入った、料理人気質をプンプンと漂わせた40代後半の板前さんである。「看板は要らない」というだけあって、腕前は超一流である。銀座で通用する数少ない宮崎の料理人であることに疑う余地はない。
 先ずは「涼冷」の生ビールを一杯。次いで、寒夜なので純米酒の「熱燗」を一合。続くは、宮崎焼酎が入り、より熟成された陶器から、客自らが注ぐ湯割り。ここらで、小生の脳細胞と肝臓はにわかにウォーミング・アップされ、口腔粘膜と食道括約筋、舌は仄かに潤い、胃粘膜は馳走を受け入れるに足りうる消化液の貯留に準備万端、整った。
 カウンターには「本日のおススメ食材」が整然と並べられ、カウンター内の背壁には、墨での店主直筆のメニューがギッシリと書かれてある。「先附」は「鮑の塩蒸し・青海苔・湯掻き筍の酢味噌・里芋・魚皮(コラーゲン)煮」。今回は刺身の「向附」は飛ばして、最初に目に留まった「日向蛤」の「椀」もの。モノが大きいため、ドンブリ風の器で出されたが、それには引け目を感じさせない十分に霞がかった「コハク酸」の出汁タップリの汁。木の芽が光った。今回はコースでないので「八寸」も飛ばして、次は「焼物」である。「ヤング・コーン」と「空豆」を頂いた。一足早い「旬」、いや「春一番」であった。もう一丁、カウンターで灯火を点しているのが「真鱈の白子」。表面に狐色の焦げ目が付くようにと、生意気にも注文をつけたが、意に適った至福のアツアツ・コクコクの絶品であった。さらなるもう一丁は、これも最初から気になっていた大振りの「カサゴの煮付」。小生の好物の牛蒡と豆腐がきちんと添えられていたから、ウレシイではないか。カサゴは〆て約1昼夜、イノシン酸(ヌクレオチド)はじめ旨味アミノ酸が遊出した食べ頃合の、これまた絶品であった。〆は「御飯」ものか。中途から「鯖すし」と心に誓って決めていたが、度の過ぎた本酒の暴飲のためか、「鯖すし」の刻印がいつの間にか、脳ミソから消え失せていた。今日の今に至っても心残りである。
 店には、客人として、以前ラジオの「ペット相談」でお世話になったアナウンサーが居られ、いつもにも増しての「楽酒」であった。近々のラジオでの「ペット談議」を約束しての、「握手」での御開きとなった。連れも終始、美酒・笑顔で、ケッコウなひと時であった。
 「美酒、美肴、美人」に乾杯。
 屋号の無いと思われたこの店には、実はというか、当たり前だが、屋号があった。もらった領収書に「Japanese Sake Bar ○○○○」とスタンプされていた。これも高尚な「ギャグ」だ。追加で、この店は器にも凝っているほか、酒はグラスから受け皿に零れるまで注いでくれますぜ。


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1月23日(金)-北大路魯山人の凄み-

 魯山人(1883-1959、京都)は元来書家であるが、陶芸家や料理家、画家、料亭経営などでも名を世に馳せた芸術家である。特に陶芸家として有名で昭和30年(1955年)に人間国宝に指定されるも辞退した経緯がある。人間国宝を辞退するとは、余程の変人であろう。余談だが、贔屓の洋画家・熊谷守一(1880-1977)も文化勲章を辞退している。守一は岐阜出身で、世に出るまでに相当の苦労を重ねた。小生は「ファーブル画家」と呼んでいるが、蟻が歩き出す第一歩は決まって左の第2脚であることを発見し、好んで蟻をモチーフとした。文化勲章や芸術院会員、文化功労者は昇天するまで毎年、国から相当の「金子」を頂戴できるのであるからして、辞退とは「高尚なギャグ」に他ならない。
 本論に戻ると、真の「魯山人の凄み」は人間国宝を辞退したことではない。実は小生ら専らの「酒愛好家」が毎夜の如く世話になっている「ぐい呑み」、「しょうゆさし」、それに「箸置き」を考案したのだ。「ぐい呑み」は広辞苑では「大ぶりの深い杯(猪口)」とあるから、湯呑かコップと杯の中間で、最初の一杯を「キュゥ」とや(飲)るのに殊の外向いている。「しょうゆさし」は、それまでの和食が料理人しか味付けできなかったものを、席に居ながらにして好みで味の微調整を可能にした優れものである。最後の「箸置き」は従来、お膳の縁(へり)にかけていた箸を、これを使うことでお膳なしのカウンターやテーブルでの食事スペースを格段に拡大させた、「偉業」である。
 今日は華金、「ニシタチ」放浪に、行くか。頃合の北風と寒波、久しぶりの本酒(ポンシュ)の燗を「キュゥ」とではなく、魯山人に最敬礼して「グイ」ッと、呑むか。太田和彦張りに「燗は、45度でね。」、なんて気取ってみるか。

追:酒の燗は、30度が「日向(ひなた)燗」、35度が「人肌(ひとはだ)燗」、40度が「温(ぬる)燗」、45度が「上(じょう)燗」、50度が「熱(あつ)燗」、55度が「飛切(とびきり)燗」という。ついでに、冷酒は5度が「雪冷え」、10度が「花冷え」、15度が「涼冷え」という。




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