今日の親仁(オヤジ)ギャグ

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今週の親仁ギャグ・2020年6月28日(日)〜7月4日(土)

蛍の灯(続編)
金之助「スコッチは『竹鶴』でしょうか、『岩井』でよいのでしょうか。歌の文句に、『あっちの水は苦いぞ、こっちの水は甘いぞ』なんてありますが、辛い水でよいのですにゃん」

主人先生「分かり切っているのに念を押すとは、なかなかの忠誠もんじゃな。ところで金之助よ、万葉の時代の螢は忌み嫌われていたのじゃが、平安や鎌倉、そして江戸ともなれば大分好もしいものに様変わりしてきたのじゃ。そうじゃ、鑑賞の対象となっていったのじゃな。ひとつ目は源氏物語じゃが、五十四帖の第二十五帖に『螢』があり、『源氏は几帳の中に蛍を放ってその光で玉鬘の姿を浮かび上がらせた。』とあるんじゃ。まるで『蛍雪』のようじゃな。次いで『太平記』にも螢が出てくるのじゃがこれはあとでゆるりと語ろうぞ。3つ目が、小林一茶の俳句じゃ。『大蛍ゆらりゆらりと通りけり』・・・・・・なんて何とも風情の極みとしての螢がじゃな。日本を代表する文学に遺されているのじゃから驚愕ものじゃ。先人の天才達に感謝じゃな」

金之助「なんですか、『太平記』とは。いつぞか大河ドラマかなにかで聞いたような名前ですが。そうじゃった、いま主人先生が熱くはまっている山岡荘八の『新太平記』じゃったにゃん」

主人先生「主人の日常をよく観ているのお、金之助君よ。その『新太平記』のなかにな、『ご不例の主上を近々お招きし、宇治の里からおびただしい蛍を運んで来て、青葉の庭から池のほとりに放って気鬱を慰めようというのであった。』(山岡荘八『新太平記3・建武中興の巻』p391・講談社)とか、『ぬばたまの暗にちりばめられてゆく蛍の光の美しさは、思うだけで涼を呼ぶに充分だった。』(同p406)、とあるんじゃ。しかしこの螢鑑賞のシチュエーションは雅なものとは程遠く、実際は、大納言西園寺公宗が主上の後醍醐天皇を謀殺するためのひとつの設定に利用されたのじゃがな。この計画は直前に漏れて失敗に終わるのじゃが」

金之助「今回もまたまた歴史の講義じゃにゃんか? 吾輩の興味はやはり一茶にござるな。『大蛍ゆらりゆらりと通りけり』・・・・・・この蛍じゃと優しく吾輩ともいつまでも遊び戯れてくれそうにゃん。この一茶の世界じゃと黄泉(あの世)でも寂しくなさそうにゃん」

主人先生「猫の分際で一茶を解する何ぞ、流石は漱石先生の名をもらっただけあるな。ひとつ講釈を垂れていいかの。この螢の句はな、文政2年(1819年)ころの作とされているのじゃが、一茶はこの9年後の文政10年11月19日に永眠したのじゃ。65歳じゃった。吾輩はな、藤沢周平の『一茶』に感銘を受け、奥信濃の生家(長野県柏原)を訪ねたくらいじゃ。当時の65歳は長生きじゃからの、この螢を詠んだ56歳頃は、まだ中風に罹る2年ほど前なので、元気じゃったと推測されるがのお。金之助の云うように、元気じゃからこそ黄泉を意識して、ゆらりと飛翔する源氏ボタルに死後の我が身を映したのであろうの。一茶の現身は、ゆらりの境地とは正反対の壮絶でスピード感極まる一生であったのじゃが」

金之助「そうであるにゃんか??・・・・・・ところで主人先生よ、妙なブログに熱中していて診療のほうは大丈夫にゃん? ここらで一茶ならぬ、コーヒーブレイクしてみゃーせんか?」

(完) 7月3日。


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今週の親仁ギャグ・2020年6月21日(日)〜6月27日(土)

螢の灯
▼螢の飛翔はゆらりゆらりと脱俗的でいくら見ていても飽きることがありませんね。わたしどもが生まれた頃には田植え前の時季となればどこでも螢が飛び交ってました。晩飯時には家の中まで入ってきて茶碗の飯に載りそうな、歩いていると口の中に飛び込みそうな、少し大袈裟ですがそんな勢いでした。

金之助「主人先生は、5月の30日の午後、昼までの診療で実家の螢を観賞されたそうですが、どうでしたかにゃん?」

主人先生「そうじゃな、11名のスタッフ・家族が3台の車に便乗してな、2時間超のドライブじゃった。3時過ぎからのバーベキューじゃからな、かなり酔いが回った8時前ころから、待ってましたとばかり、ほろりほろりと螢が出現したのじゃ。30分もすると数百匹(推定で500)かそれ以上かに増えたな。そして9時過ぎに帰路に就いたのじゃ」

金之助「螢という生物の空中を舞うのは羽があるから解せるのですが、どうして光るのですにゃん?」

主人先生「猫の目も光ると思われているかもしれないが、あれは光が外から入ると網膜のタペタム(反射板)という組織で反射しているのであって、螢のように自ら発光しているのではないな。金之助君よ、どうだい、ぽかりぽかりと宙を舞う螢と戯れてみたいかい」

金之助「生まれてこの方、螢なんて云うのは見たことないから、にゃんとも云えないけれど、少し怖ろし気な気もしないではないにゃん」

主人先生「そうだよな、人間様だって昔は怖がっていたんだな。なんとも奇妙な発光物体が凶事の前触れ(前兆)とされたのじゃろ。その証拠にな、彼の万葉集にもたったの1首しか螢は登場していないのじゃ。あのふぉわふぉあとした仄かな点滅が人魂のようで縁起が悪いとされたのじゃろう。したの長歌がそれなんじゃが、約4500首もある万葉集のなかで唯一の『螢』じゃからな、価値ものじゃ。そしてその内容は先立たれた妻を想う挽歌ときているから、やはり螢は人魂なのじゃ」

この月は 君来まさむと 大船の 思ひ頼みて いつしかと 我が待ち居れば 黄葉の 過ぎてい行くと 玉桙の 使の言へば 螢なす ほのかに聞きて 大地を ほのほと踏みて 立ちて居て ゆくへも知らず 朝霧の 思ひ迷ひて 丈足らず 八尺の嘆き 嘆けども 験をなみと いづくにか 君がまさむと 天雲の 行きのまにまに 射ゆ鹿猪の 行きも死なむと 思へども 道の知らねば ひとり居て 君に恋ふるに 哭のみし泣かゆ(作者未詳)

金之助「そうであったにゃんか。それじゃ主人先生と僕にゃんのどっちが先に逝くかわからにゃんけど、もし僕にゃんが先ならちゃんと金之助の螢を捜してくださいにゃん」

主人先生「そうじゃな、もし吾輩が先なら必ず螢になって現れるから、金之助もスコッチを用意して待っていてくれな。約束じゃぞ」

(つづく) 6月30日。


固定リンク | 2020年06月27日【666】

今週の親仁ギャグ・2020年6月7日(日)〜6月13日(土)

ウイルスの功罪
▼地球が誕生したのが、なんと46億年前であります。はじめは高温だったため、水はありませんでした。2億年かけて冷えた地球に海が誕生したのが44億年前です。が、それ以来ずっと水が存在したわけではなく、たびたびの微惑星衝突により海のあったりなかったりを繰り返してきたのです。そして海が常時存在するようになったのが38億年前のことです。水の存在は生物の誕生に欠かせないものです。最初の生物は一つの細胞しかもたない単細胞生物でした。その単細胞が進化を繰り返し、新人と云われるわれわれ人間が誕生したのですが、それはつい最近の20万年前ということです。そして現在の生物種は約870万種とされています。

金之助「気の遠くなる譚じゃにゃん。生物誕生が38億年前となると、われわれ猫の寿命の何倍になるにゃんか。頭が割れそうな数字じゃにゃんか」

主人先生「そうじゃそれが天文学的な数字と云うやつじゃな。きょうはコロナウイルスの譚じゃがな、ウイルスはエイズにしろエボラにしろ狂犬病にしろ、ほんとうに憎き生き物なのじゃが、ところがどっこいすべてのウイルスが悪者じゃないらしいんじゃな」

金之助「ほほお、それはまことですか。いったいどういうことにゃん?」

主人先生「天文学的な時間の中で、われわれヒトの遺伝子にはウイルスの感染によってその遺伝子(DNA)が組み込まれ、遺伝情報として一体化していると云うのじゃな。その数字とやら、なんとヒトゲノム全体の約8%というから、こりゃ凄い。ヒトゲノムで生命活動に係るのが1〜2%程度なんじゃから、この8%という数字は只者じゃない支配じゃな」

金之助「それならわれわれ猫のゲノムも同じ可能性にゃん。組み込まれたウイルスはどんなことに貢献しているにゃんか」

主人先生「そうだよな、そこが興味津々じゃろな。ある研究者によると、『約1億6000万年前に哺乳類の祖先にあるウイルスが感染し、これがきっかけで胎盤ができあがった』と云うんじゃ。また、『哺乳類の別の遺伝子も約1億5000年前に感染したウイルスで胎盤の毛細血管ができるのに欠かせない』らしいぞ」

金之助「それは生物にとって革命的事変じゃにゃんか。憎きコロナ、憎きウイルスと思っていたが、そうとは云えないばかりか、今まで進化を遂げてきたわれわれ猫にとっても、少なからずウイルス感染の恩恵を受けてきたということにゃん」

主人先生「流石は漱石先生と同名の金之助じゃ、天才じゃな。猫も人間と同じ哺乳類じゃからな。驚くことなかれ、脳の発達にもウイルス感染(遺伝子組み込み)がかかわっており、『複雑になった脳の働きを、ウイルスがもたらす新たな遺伝子が制御している』と云うんじゃな。その他にもな、花に感染したウイルスが花の色を変えている事象が確認されているし、蛾の幼虫に感染したウイルスがその幼虫を葉の先端へ移動するよう指令を出して誘導し鳥の餌食として目立たたせているとの報告もあるそうな。鳥に捕食させることでウイルス自身の拡散を目的としているんだな。そもそもウイルスとは自己増殖できないことから生物ではないと考える専門家もいるようだけど、ここまで解明されると立派な生き物だな。まあ、金之助も吾輩も哺乳類じゃからな、とくに君たち猫が多産なのもしっかりした胎盤のお陰じゃからの、ウイルスに取り敢えず感謝じゃな」

金之助「主人先生が昔の映画で『猿の惑星』の譚をしたことがあるにゃん。天文学的な時間で、今後、人間が他の生物によって支配されることもありうるってことにゃんですか 」

主人先生「そうじゃな、今回のコロナ騒動でも、ある国の研究室で遺伝子操作が行われ、新型が造られたとの噂もあるからな。もっと飛躍すれば科学的にはモンスター生物を創造することも可能だとなるよな。金之助、『猫の惑星』も夢じゃないかもな。これには、宇宙的時間の必要はないかもな。怖い話じゃな。ところで金太郎君よ、現在の君の体に機能的ウイルス遺伝子を組み込んで欲しいならどんなものが所望かい」

金之助「時にワクチンや血液検査のため注射をされるのは嫌にゃんが、今の生活にまあまあ満足してるにゃん。でも贅沢を言わせてもらっていいでしょうか。そうだな、猫仲間といがみ合うような性質を正し温和で誰とでも仲良しになれるようなウイルス遺伝子、それにどんなウイルス病にも罹らない遺伝子、さらには交通事故に遭わない超俊敏性遺伝子じゃにゃん。これなら鬼に金棒ですにゃん、夜と云わず昼と云わず、外を自由に徘徊できますにゃん。そして淡くて甘いたくさんの恋がしたいもんにゃん」

主人先生「そうか、てっきり好物の鰹や鯵や鰯の新鮮な生魚を思う存分喰えるように、大海の鯨やイルカのもつ捕食能力ウイルスの遺伝子かと思っていたら、色恋かよ。それを言われちゃ、金之助の去勢をした手前、ゴメンとしか・・・・・・。まてよ、もしや金之助、老い耄れロートル親仁の代弁かよ・・・・・・やはりそうか、その顔は・・・・・・したりじゃな」


ウイルス遺伝子の情報は日経新聞の連載「驚異のウイルス(2020年5月24日)・(同5月31日)・(同6月7日)」を引用、参考としました

6月13日。


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