院長コラム
<< 「ねじれ現象」で「ねじれ」が解ける時が”宮崎のチャンス”。 | 戻る | 春が来た-走り・旬・名残-。 >>
ペットと飼い主に安心を届ける、宮崎初の夜間病院。
本稿は宮崎太陽銀行発行の小冊子「宮崎の元気企業見聞録」のインタビューに答えたものです。まもなく銀行の店頭に並ぶ予定です。カラー写真入りなのでどうぞお求め下さい。
「宮崎の元気企業見聞録・太陽がいっぱい-シリーズ52-」
(T)ペットと飼い主に安心を届ける、宮崎初の夜間病院
もはや家族の一員とも言えるペット。昔と比べて、生活習慣が変わってきたことによって、ペットにもガンや心臓病、腎臓病などで昼夜を問わず重篤となる症例が増えており、全国的に救急医療が求められてきました。宮崎では、昨年5月に初の夜間専門の動物病院「宮崎犬猫総合病院」が開院。宮崎における獣医療の現状とは? また、これからの動物病院に求められるものとは? まもなく開院から2年目を迎える院長・田原秀樹さんにお話をうかがいました。
(Q)-必要とされていた夜間病院が、いままで宮崎になかったのはなぜでしょう? また、宮崎初の夜間病院を開設するまでの経緯をお聞かせください。-
(A)-田原院長- 私はずっとペット専用の救急病院がないことに疑問を感じていました。特に夜間専門の動物病院があってしかるべきだと思っていたのです。以前に比べ、動物病院は増加してきましたが、夜間病院が宮崎に限らず全国的に少ない原因は、獣医師の横の連携が希薄なことや一病院当りの獣医師の人数が少ないことによります。常勤の獣医師がひとりの場合、昼間の診療をした後に、夜間もこなすのは体力的に難しいのが現実です。社会的要請が高く、訴訟社会でもあるアメリカでは、地域の動物病院が共同出資して夜間救急病院を運営しています。
私は夜間専門の病院を開設しようと思いたち、当初は市郡獣医師会に提案をしましたが、採算的に運営が難しいということで一度は断念しました。急病の動物が毎日来院してくれるとは限らないからです。しかし、その必要性の高まりを感じ、自分でつくるしかないと決心したのです。ホームページを通じて常勤の獣医師を募集した結果、大阪から移住してくれる獣医師が見つかり、昨年の5月18日に「宮崎犬猫総合病院」を開設することができました。
(Q)-夜間診療を開設されてから、どのような点に苦心されていますか?-
(A)-田原院長- 年中無休で診察をしていますから、私と常勤の先生とでローテーションを組んでいます。お互いに負担がないシステムを確立できてはじめて、救急医療に対応できるわけですからね。この4月から、新たに新卒の獣医師が東京より来てくれました。設備の充実も重要ですが、それ以上に人材の確保が必須であります。
当院はもうすぐ2年目を迎えます。これまでには、延岡や都城などの遠方から来られる方もいました。また、中には「夜間に診療してくれる動物病院を転々と探しまわっていたら、ここに行き着きました」と話される方も。宮崎市内だけでなく、市外でも夜間病院の必要性があることを感じました。
いまは、とにかく多くの方に宮崎にもペットの夜間病院があることを知っていただきたいというのが願いです。「娘に電話したら、インターネットでここの夜間病院を調べてくれました」という人もいますが、「知人から教えてもらった」とか「車で通ってここの存在を知っていました」というケースが多いようです。やはり口コミの強さを実感しました。いろんな人に知っていただきながら、「夜間病院をやることの意義」を信じて、飼い主の方との信頼関係を築いていきたいと考えています。
(Q)-獣医療の現状を踏まえながら、今後の展望と目標についてお聞かせください。-
(A)-田原院長- 動物も人間と同様、高齢化が進んでいます。そのため、ガンをはじめ、昔はあまり多くなかった「白内障」や「緑内障」、「認知症」や「老齢性の骨・関節疾患」などが急増しています。
獣医療は、新療法の開発で完治できる病気が増えました。しかし、動物のガンの場合、他覚症状として飼い主や獣医師が認知できた時点では、手遅れであることが少なくありません。人間の場合は、すぐ内視鏡やPETなどの最新機器で早期に発見されますが、動物の場合、同様の方法がとられないのは、機器が高価でなかなか導入が進まないこと、導入できても、検査のための長時間の全身麻酔が動物の負担となるからです。
担ガン動物に対して、今後、われわれ獣医師が取り組まなくてはならない重大な課題の一つに、末期に見られる疼痛があります。人間と同様に痛みの緩和を主体にした「ターミナルケア」の確立と実践が望まれます。この点についても専門家の養成に傾注しなければなりません。
眼科についても「白内障」の手術をはじめとして、その需要は高まる一方ですが手をこまねいているのが宮崎県内の現状です。治療をするために、東京へ行かれる飼い主の方もいます。その話を聞くたびに、宮崎に眼科医がいれば・・・と思います。アメリカではすでに1960年代に獣医眼科専門医制度が誕生しています。東京では眼科の看板を前面に出している動物病院も散見されるようになりました。眼科専門医の確保に尽力しなければと考えています。
動物の高齢化に伴う「骨・関節疾患」や「認知症」などに続発する歩行異常や起立困難も大きな問題の一つです。リハビリの設備やプールなどでこのような動物のQOL=
quality of life(生活の質)の向上を図らなければなりません。このようなことを踏まえての「老犬ケアーセンター」の設立も今後検討すべき課題と考えています。
しかし、最新の診断装置に頼りすぎるのもまったく問題がないわけではありません。動物の診断は「問診」、「聴診」、「視診」、「触診」、「血液検査」、「超音波検査」、「レントゲン検査」、そして臨床経験の積み重ねによる「第六感」でかなりの部分がカバーできると私は考えています。健康維持の最善の方法は、病気になってから病院に来るのではなく、年に1〜2回の健康診断を受けることです。
今後は最新機器の導入など設備の充実を図りながら、迅速・的確な診断、技術が高く失敗のない手術を目指します。そして、臨床経験の豊富な同志とともに、宮崎県内の獣医療の向上を図っていくことが私の目標です。
2008/03/31 09:43:55【30】