トピックス

最近の記事

ペット豆知識 vol.5 -犬の僧帽弁不全症(MR)-

MRってなに???

 まだまだ暑いですね。前に特集した熱中症ですが、ここ最近救急病院に連れてこられる犬が急増しています。何度もいいますが、本当に熱中症にはご注意ください。
 さて、こんなに暑いと仕事もはかどりませんね。仕事、試験勉強、家事にも適度な休憩が必要です。しかし、どんなときでも休憩してはいけないものがあります。『休憩』すなわちそれは『死』を意味します。絶対に休憩してはいけないもの。それは心臓です。今回は犬、特に小型犬に多いMRについて特集します。

―MRってどんな病気?―
 MRとは僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation)といい、簡単に言えば心臓の弁(一定方向に血液を流れさせるための関所)が正常に閉まりきらなくなり、血液が逆流して様々な病態を示すようになります。
 下の図をご覧ください。心臓には4つの部屋があります。大きく分けて右と左で完全に隔たれていて、さらにそれぞれ心房、心室に分かれます。心房と心室には弁があり、通常、心房から心室へ送る血液が、その逆方向へ逆流するのを防いでいます。
 全身から帰ってきた血液(静脈血)は右心房へはいり、次いで右心室に充満します。ここから一気に吐き出された血液は肺動脈を通って、肺を通過していきます(ちなみにフィラリアが寄生するのはこの肺動脈です)。肺で酸素交換をして真っ赤でキレイな血液(動脈血)になり、また心臓へと戻ってきます。もどってきて最初に入るのが左心房です。血液は左心房から左心室へ充満し、高い圧力で大動脈に送られ、そしてそれは全身へと回っていきます。
 重要なのは、最後の2行です。もう一度いいます。左心房から左心室へと運ばれ、充満した血液は非常に高い圧力とともに全身を循環していきます。さて、僧帽弁閉鎖不全症と書きましたが、これはその名のとおり、『僧帽弁』というところが『閉鎖』することを『不全』してしまう病気です。そしてその『僧帽弁』とは左心房と左心室を分ける弁の名前であり、つまり、MRとは左心房→左心室の正常な流れが『閉鎖不全』を起こすことで、左心室→左心房へと血液が逆流してしまう病気なのです。
 閉鎖不全をおこすには、いくつか原因があります。全体の6割は弁の粘液変性という病態が原因で、これは弁とそれをを引っ張り支持している腱索が進展し、まるで伸びきったゴムのようになることで、弁が閉まりきらなくなります。そのほか、細菌性心内膜炎や拡張型心筋症による左室拡大によっても併発します。
 そもそも犬の心臓病にはいくつか代表的なものがあります。フィラリア症、先天性心奇形(動脈管開存症、心室中隔欠損、大動脈弁狭窄など)、拡張型心筋症、気管支拡張症や腎不全などに続発して(二次的)起こる心肥大、そして僧帽弁閉鎖不全(MR)はそれらの中でも非常に頻発する疾患です。ヒトにも犬のMRと同じ病態(僧帽弁の粘液変性)で発症する僧帽弁逸脱症候群という病名があります。原因は不明です。

-MRのサインを見逃すな!-
 マルチーズ、シーズー、キャバリア、トイ・プードル、ダックス、(柴犬も多い)などの犬種を飼われている方は、MRに要注意です。MRは後天性疾患で、かつ進行性です。つまり、高齢になればそれだけMRのリスクは高まりしかも進行性にどんどん悪化していく病気です。となれば、早期発見が予後のカギとなります。
.灰鵐灰鵑箸い辰振咳(乾咳)
運動を嫌がる
8撞枉態の悪化
た柑┣

 まず、われわれが気づく最初のサインは、聴診における逆流音です。普通心臓は、「ドッド・・・ドッド・・・」といった歯切れのいいリズムを繰り返しますが、逆流音がある場合、収縮時に合わせて「ザーッ、・・・ザーッ・・・」といった音が聞こえます。この逆流音を6段階で評価し、6が最も重度な心雑音とされます。(下図参照)最初に挙げたような犬種は少なくとも半年に一回は病院での健康診断を受けるべきだと思います。聴診とエコー(超音波)検査でバッチリです。
 また、咳もMRの重要なサインです。左心房の肥大で左側の気管支が圧迫され、咳が出始めますが、進行すると、肺水腫を起こし致死的な状態に進行します。もういちど心臓の図をみてください。左心室から左心房への逆流が進むと、わかりやすくいえば、事故渋滞をおこします。うまく前方に血液を送れなくなるため、左心房がパンパンになり、後ろからやってくる血液が渋滞してきます。これはうっ血性心不全という病態で、それはやがて肺の方まで渋滞を起こし行き場のなくなった渋滞血液は外に飛び出します。それが肺水腫です。肺水腫は非常に緊急性の高い疾患のため、咳が続きゼエゼエ言いはじめたらすぐに病院に連れて行きましょう。

-不治の病、MR-
 残念ながら、MRを完全に治すことは現代の獣医学では不可能です。しかし暗い話ばかりではありません。”進行を遅らせること”ができます。心不全のもっとも重要なことは血圧が上昇するということです。心不全により循環血液量が低下すると体がそれを感知し、血圧をあげて正常な循環を保とうとします。さらに飲水量を増やして、腎臓でのナトリウム(塩分)の保持抗利尿そして血管収縮が起き、悪い心臓はどんどん悪くなっていきます。これは心臓の代償機構の悪循環で、簡単に言えば、目先のトラブルにしか目がいかなくて、気づいたら巨大なトラブルになっていたというようなものです。
 治療は、心機能の低下から起こった抹消血管の収縮を血管拡張剤=血圧降下剤(ACE阻害剤)の投与で緩和します。分かりやすく言うと、指でつまんだホースの先を普通にして、血圧を下げ、末梢循環を回復させようとします。そうすることで左心室から左心房に逆流する血液の行き場を大動脈(全身)の方に向かわせます。そして冠動脈や肺血管拡張剤(硝酸イソソルビド)、気管支拡張剤(テオフィリン)を併用していき、さらに進んだ症例では利尿薬やニトログリセリンの投与も考慮します。さらに心臓の動きを活発化させるため、強心剤(ジギタリスなど)の投与も始めます。最近では、『ベトメディン』(ピモペンダン)という新薬が開発され、多くの犬のMRに効果を示しています。ただ、非常に有効である場合がある反面、相性が悪いと余計症状を悪化させる場合もあるので、慎重な投与が必要です。ともあれ、一度薬を飲ませ始めてからストップすると、一気に症状が悪化することがあるので、薬を飲ませるなら一生飲ませ続けていくくらいの覚悟が飼い主さんには必要です。
 しかし、なによりも大事なのは、日々飼い主さんが出来ることです。早期からの食事療法(減塩食)、ダイエット、運動制限などは薬よりも大事なことかもしれません。

-最後に-
 ながくなってしまいましたが、最後にポイントをまとめておきます。
1)咳、呼吸困難、運動を嫌うなどの症状はMRのサイン
2)マルチーズ、ポメラニアン、キャバリアはMRの宝庫
3)早期からの薬剤投与と、食事療法がカギ(血管拡張剤には弁の粘液変性や心筋細胞の肥大に対する抑制効果があると言われています)

 心臓は一日に十何万回(心拍数が100回/分の場合、1日の拍動数は14万4千回)も拍動するインソムニア(insomnia)な臓器です。心臓が休憩するときは死ぬときです。投薬、食事、運動制限、やれることはしっかりやってまだまだ心臓にはがんばってもらいましょう。


文:小川篤志

固定リンク | 2008年07月31日【17】

ペット豆知識 vol.4-意外と身近な有毒物質-

食べてイイものワルイもの

 夏バテしていませんか?暑い時期には食が細くなりますね。僕は季節に関係なくいつもお腹ぺこぺこです。かわいいペットたちも同じです。つぶらな瞳で見つめられると、ついつい食べかけのハンバーグのかけらをあげちゃいたくなりますよね。
しかし、私たちが普通に食べているものの中で、あるいは日常生活のありふれたものの中にも、ペットには有害になるものがあります。たまねぎ、チョコ、コーヒー、お茶の葉、ナッツなどはもう常識ですね。あなたはいくつご存知ですか?


―身近な食べ物―
・・・タマネギ、チョコレート、コーヒー、マカデミアンナッツ、キシリトールガム、アスピリンなど

.織泪優
タマネギは、タマネギ中毒の原因物質です。これは、溶血性貧血という病態を示します。タマネギやその他のネギ類(ねぎ、にんにく、ニラなど)に含まれる酸化剤(プロピル・ジスルフィド)によって赤血球が破壊されます。コーヒー色の血尿を呈するのが特徴で、2次的に肝障害が見られることがあります。夕方、薄暗い頃にBBQをしている最中にうっかりタマネギを落としていたのに気づかず、犬が拾って食べてしまっただとか、タマネギが含まれる料理、たとえばハンバーグやカレー、味噌汁、焼そばなどにも気をつけてください。決して珍しい病気では有りません。当院の救急病院にも、ハンバーグの料理中にタマネギのかけらを落としてしまい、それを食べてしまった子犬が連れてこられました。幸い、少量だったこともあり大事には至りませんでしたが。個体差や犬種差(特に柴や秋田犬は要注意!!)により異なるので、少量だからといって安心はしないでください。

▲灰灰
チョコレートやコーヒー、ココアにはキサンチン誘導体とよばれる物質(テオブロミンやカフェイン)が含まれていて、これは中枢神経の興奮作用があります。嘔吐や下痢の消化器症状も起こります。これもペットにとって危険なもののひとつです。
<イヌとネコの致死量>
イヌ : 40 g/(例:5圓慮い任蓮200gのチョコを摂取すると死亡)
ネコ : 100 g/(例:4圓稜では、400gのチョコを摂取すると死亡)

マカデミアンナッツ
ナッツ類には、アスペルギルス属のカビが繁殖していることがあり、人間には問題とならない量であっても、これもペットには危険です。(ちなみにアスペルギルスの産生するアフラトキシンという毒素は、自然界に存在する最強の発ガン物質と言われています。ついつい酒のお伴に柿の種を食べ過ぎる傾向のある僕はやばいかも・・・?)

ぅシリトールガム
キシリトールにも毒性があります。キシリトールは甘味料ですが、糖よりもインスリン(血糖値を下げるホルモン)を強く分泌させ、低血糖を起こします。甘いものを食べたのに低血糖になるわけです。数年前アメリカで、キシリトールを食べた犬が死亡したというテレビニュースを記憶している方もおられると思います。最近ではガムに含まれていることが多いので、これにも気をつけてください。

ゥ▲好團螢
解熱剤も犬猫には重篤な副作用を与えます。アスピリン中毒が見られ、消化管、肝臓、腎臓へ悪影響を及ぼします。人間と他の動物では代謝経路が違う場合があります。いわずもがな、人間用の薬を安易にペットに服用させるのは絶対にやめましょう



―身近な観葉植物―
 意外に知られていないのは観葉植物です。伴侶動物(ペット)の中毒症のうちで植物が占める割合は10〜15パーセントと言われています。その中で犬が70%、猫が25%、その他が5%です。誘引としては室内飼いで閉じ込め状態のストレス、退屈や倦怠、若齢動物のいたずらが挙げられています。飼い主が不注意にも動物に与えることもあります。今回は特に身近にある毒性植物について行(紙面)を割くことにします。

 良く見られる植物毒の症状は大きく4つに分けられます。主に‐嘆輯鏃呂鳳洞舛魑擇椶垢發痢↓⊇朶調鏃呂鳳洞舛垢襪發痢↓神経系に作用する、だ椰╂の障害の4つです。

‐嘆輯鐓祿
 主に消化器系に毒性を示すもののいくつかを挙げてみます。
 サトイモ科の植物の葉や根茎には、シュウ酸塩が含まれています。この茎を口にいれると、激しい痛みや灼熱感、腫れが起り、さらには呼吸困難で死亡することもある怖い植物です。他にも、眼への激烈な痛みや腫れ、腎障害や神経症状が見られます。サトイモ科には、ウラシマソウ、エレファントイヤー、ザゼンソウ、マツムシ草、水芭蕉などがあります。ちなみに、サトイモは茎を口にすると数日間痛みで口がきけなくなるため、Dumbcane(無口な茎)と呼ばれます。シュウ酸塩は他にも、ユリ、ヒヤシンス、ツタ類などに含まれています。
 この他消化器系に影響するものとしては、クリスマスには欠かせないポインセチアです。これらの毒素については解明されていない点も残されていますが、イリシン(ilicin)サポニン(saponin)が嘔吐や下痢などといった消化器症状を起こします。サポニンは、ヤツデ桔梗の根にも含まれます。
 白百合(テッポウユリ)の原因毒素は不明ですが、特に猫で腎毒性を示します.2〜4日で嘔吐・下痢などの尿毒症症状を呈します。摂取が疑われたら、病院へ直行です。

 以下はそのほかの消化器障害を起こす植物です。アマリリス、黄水仙、チューリップ、アヤメ属(アヤメ、イチハツ、ハナショーブ)など(以上のものの原因毒素は不明)、トマト、ジャガイモ、ナス、ほおずきなど(以上のものの原因毒素はソラニン、ベラドンナ、ソラノカプシン)。これらは消化器症状の他、沈鬱状態や不整脈も見られます。トウゴマの毒素はリシンで、トウアズキアブリンと同様に腹痛・嘔吐・下痢・癲癇・脳浮腫を認めます。
 植物ではないですが、キノコ類にも消化器症状を呈するものが多く、ハラタケ、イッポンシメジ、タマゴテングダケ、コレラダケはその一部です。原因毒素はアマ二チン、オレラニン、モノメチルヒドラジンです。はじめは消化器症状が見られ、その後黄疸や昏睡を呈し肝不全と腎不全で死に至ります。人では血液透析や肝移植の適応となります。


⊇朶調鏃呂鳳洞舛鰺燭┐訖∧
 強心配糖体といわれる心臓への薬理学的作用があるものは、夾竹桃(キョウチクトウ)、ジギタリス、スズラン(毒素はコンバラトキシン、コンバラリン、コンバラマリン)、チューリップ、スミレ、彼岸花などがあります。ジギタリスはその強い心臓賦活作用により、心臓薬としても利用されています。キョウチクトウは少量でも致死的ですが、非常に苦いため、死亡例は少なく、むしろ樹液への接触による皮膚炎や発疹が問題となります。ツツジ(レンゲツツジなど)やネジキアセビにも循環器障害を起こすグラヤノトキシン(アンドロメドトキシン)が含まれ、重篤な中毒症状を起こします。症状は嘔吐・腹痛が数時間続いた後、顕著な除脈・心室性不整脈・不全収縮・高カリウム血症など重篤な状態が生じ、死に至ることも稀ではありません。一時的な心臓ペースメーカーの装着も必要です。ちなみに獣医師国家試験の勉強中、どうしてもレンゲツツジ、ネジキ、アセビ、グラヤノトキシンの並びが覚えられず、私はこう覚えました。
「レンゲねじって汗びっしょり、蔵屋のトキさん」


G梢牲亰呂鳳洞舛垢訖∧毒
 脳神経系に作用する植物を摂取すると、中枢神経麻痺や興奮、運動失調、幻覚などが見られます。アボカドの種、アマリリス、杏の未熟な種子、イチイの葉(毒素はタキシン)、水仙、タバコ、チョウセンアサガオ、ドクゼリ、トリカブト、パンジー、ホオズキの未熟な実、麻、水芭蕉などがあります。そのほか、キノコ類でも牛の糞に自生するマジックマッシュルームと呼ばれるベニテングダケなどがあります。これらは幻覚や錯乱状態となることがあります。
 タバコ毒素であるニコチンは即効性に自律神経節を興奮させ、その後抑制します。重篤な例では呼吸筋の麻痺による窒息死がみられます。人工呼吸や胃洗浄、開腹手術をしてタバコを胃・腸管から除去しなければなりません。飼い主の不注意による事故が多く、スモーカーの方は気をつけてください。
 意外なのはアボカドの種ですね。包丁をいれたときに中心にあたるあの大きな種です。ウサギやモルモット、オウムやインコといったペットが摂取すると、痙攣や呼吸困難をおこすことがあります。個人的にはこれらの小さな動物があの硬くて大きなアボカドの種を食べられるかは疑問符ですが、アボカド好きで小鳥を飼っている方は要注意です。
 トリカブトはサスペンスドラマなどによく登場する有名な植物なので、なかなか部屋の中で大切に育てているちょっとアブナイ方はいらっしゃらないとは思いますが、林の中では、ヨモギなどと混生していることがあるため、誤食することがあるようです。アコニチンという毒素で、これも国家試験の時、「あ、こんにちは。トリカブトいかがですかー」と叫びながら歩き回る友人を見て覚えました。
 また、上記には書きませんでしたが、サリンジャーの『The Catcher In The Rye(ライ麦畑でつかまえて)』で有名なライ麦には麦角菌が繁殖していることがあり、麻薬指定であるLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)が含まれ、ひどい幻覚や嘔吐、下痢そして死をもたらすことがあります。中世のヨーロッパではペストと並んで恐れられた黒死病の原因です。


だ椰╂障害
接触性障害とは、人や動物がその植物に触れることで皮膚炎や粘膜の炎症をおこすことで、これらを起こす可能性のあるものは、ウルシ、ゴムの木の樹液、胡桃(オニグルミ)、ニリンソウ、マツヤニなどです。


 このほかにも、本当にたくさんの有害植物があります。も生のまま摂取すると、胃内で青酸カリとなります。宮崎で多いのはソテツですが、これも体内で猛毒のホルムアルデヒド(ホルマリン)に代謝され、死亡することがあります。戦時中、食べるものに困った教師が生徒にソテツの実を食べさせ中毒をおこしたこともあるそうです。たばる院長は、「ソテツ食べたらソテツもないことになるで!」とソテツもなく寒いギャグを飛ばしていました。


 今回調べてみて分かったことは、私達の近くには本当に沢山の危険なものが簡単に潜んでいるということです。かつ、病院に連れて来られるペットには意外に植物中毒が多いのかもしれないということでした。中毒の場合、治療は対症療法に絞られますが、ついつい見逃されがちな原因の追求、そして除去(有害なものを近くに置かないなど)にも徹底を期さなければいけないと感じました。
 今日私達が使う薬のほとんどは、元は植物から抽出されたものです。世界最古の麻酔はコカの葉といわれており、現在の局所麻酔はこれ(コカイン)を基本にしたリドカインやプロカインが使用されます。アヘン草はモルヒネとなりやがてヘロインに、麻黄(マオウ)はエフェドリン(鎮咳薬)となり覚醒剤に。薬草は薬にも毒にもなります。綺麗なものにはトゲがある。庭や室内に観葉植物がある方は注意してください。


 犬、特に何にでも興味津々の子犬は常に食べられそうなものを狙っています。ナメクジ駆除剤のときにも書きましたが、机の上に置いたりしない、片づけを徹底する、といった心がけが大事です。
 もちろん異物摂取(例えば、釣り糸や釣り針、おもり=鉛、スーパーボールのなどボール類、コイン、ボタン、鶏の骨など)についても十分気をつけてください。

 上記のもの以外にまだまだ沢山の「有毒物質」が、いやいや「誘惑物質」があなたのペットの命を狙っています。治療は胃洗浄、催吐処置、輸液、利尿剤の投与、活性炭の投与・・・・・などなど「オオゴト」です。怪しいと思ったら直にかかりつけの病院へ電話して指示を仰ぎましょう。そして病院へ車で直行です。食べてイイものワルイもの、しっかり知って、間違っても大事なペットを死に至らせることの無いように注意しましょう。


文:小川篤志

固定リンク | 2008年07月24日【16】

ペット豆知識 vol.3-熱中症-

熱中症に陽(ひ)の用心!

暑い。非常に暑い日が続いております。暑い暑いとは聞いていましたが、東京から出てきたばかりの私は宮崎の夏を少々見くびっていたようです。
Tシャツに短パンの人間だってここまで暑いのです。ふわふわの毛皮を全身に纏ったペットは、さぞかし暑いことでしょう。

第3回となる『ペット豆知識』は熱中症について特集します。


さて突然ですが、下の項目のいくつに当てはまるか数えてみてください。
ヽ阿濃瑤辰討い董日陰が少ない場所に犬を繋いでいる
∧弔畧擇辰深屬涼罎蚤圓燭擦襪海箸ある
F中、家族が出かけている間クーラーはつけていない
じい好きなときに水を飲める状況にない
ド畸覆藁篷爾効いた部屋にいるのに、日中に長い時間、外に出した
β世辰討い
Ц撞朶鏃呂亮栖気ある
┸澗”造あると言われたことがある
短頭種である(パグやブルドッグなど)
長くて暗い色のフサフサ毛並の犬

3つ以上マルがついていたら、熱中症に要注意です。

熱中症は、ご存知のとおり暑さによって惹起されます。多くの犬の平熱は38〜39℃ぐらいですが、何らかの原因(上記のような状況)で体温が上がり、41℃程度から高体温と診断できます。43℃(正確には42.7℃)以上になると、多くの臓器が障害を受け死亡することも少なくありません。
犬は、発汗によって体温を下げることができるヒトとは違い、呼吸を激しく(パンティング)することによって体温を下げる冷却メカニズムを持っています。したがって、熱中症になるには、1)冷却メカニズムが追いつかないほどの暑さ、2)暑いのに冷却メカニズムがうまく作動できない、3)水を自由に摂取でず脱水状態となる、などといった原因があります。
では、症状を見てみましょう。

<症状>
・あえぎ呼吸(パンティング)       ・頻脈
・痙攣                ・呼吸困難
・よだれ               ・高熱
・尿量の減少             ・下痢や血便 など


 これといった特徴的な症状が有るわけではありませんが、とにかく発熱し、明らかに暑い場所に放置したあと、このような症状が見られた場合、すぐにホースで頭から水をかけたり、水をはった風呂などに入れて冷却してください。熱中症は、救急疾患です。すぐに動物病院に連絡しましょう。


それでは最後に、10個のチェックリストに一つずつ回答していきましょう。

ヽ圧げ垢伴尊櫃貌以が感じる温度は違います。たとえば、高湿度、風の有無、直射日光の当るアスファルト、リードでつながれていて動ける範囲が少ないなどの状況は、容易に熱射病のリスクを高めます。日陰をつくって、自由に水が飲めるようにしてあげてください。

∧弔畧擇辰深崙發蓮一番危険な状況だと思ってください。たとえば昼間、外が25℃でも20分車を放置するだけで、車内は50℃以上になります。それに加え、換気が不十分で対流による冷却ができず、1時間も放置すれば死亡する可能性が多々あります。

これも、△汎韻戸由です。換気が不十分であり、かつ日差しが入りやすい部屋はビニールハウスの中と同じだと考えてください。室内飼いの方は、必ずクーラーをつけておきましょう。電気代は病院代よりも安上がりですよ。

熱中症は飲水制限により、重篤化します。脱水があると、熱放散つまり冷却メカニズムがうまく作動せず、より熱射病を悪化させる原因になります。夏場は、いつでも犬が水を飲むことが出来る環境を整えてあげましょう。

イ修海泙能襪なかったとしても熱中症が起こる場合があります。たとえば、きのうまでは涼しかったのに、今日は突然暑くなったとか、非現実的ですがアラスカで生活していた犬が今日宮崎に引っ越してきたなどです。要は、体の順応が出来ていない場合、突然の環境の変化についていけないことがあるのです。

θ酲した動物では、余分な脂肪の断熱効果により、正常な体温冷却が妨げられるため、熱中症のリスクが高くなります。ちなみに高年齢もリスクファクターとなります。若返ることは始皇帝や卑弥呼もできなかったことですが、ダイエットならいますぐ出来ますよ。

Ю茲曚匹盻劼戮燭箸り、犬はパンティングによって熱を放散します。呼吸器疾患があれば、冷却メカニズムが作動できず、容易に高体温へとなっていきます。

┰朶調鏃呂良袖い蓮心臓が血液を拍出できる量が低下していて、皮ふへの血液循環が悪くなり、体熱の放散を妨げます。

パグやブルドックなどは短頭種と呼ばれ、遺伝的に呼吸器に問題を抱えています。パグがふがふが言うのはそのためで、理由はГ汎瑛佑任后

セントバーナードやバーニーズのような、長毛で暗い色をした被毛をもつ犬では熱中症のリスクが高いとされています。

思い当たる節がある方は、是非参考にしてみてください。


 数年前、当院に来られた飼い主さんが、車の中に犬を戻してドアを閉めると、窓越しに乗り出す仕草をした犬がロックボタンを中から押してしまったそうです。炎天下で鍵屋さんの車が来るまで車に水をかけ続けたという話がありました。しゃれではありません。本当の話だそうです。

 余談ですが、私が院長に叱られるときのひとつに『常に最悪の場合を想定して行動しろ』とよく言われます。もちろん獣医療の範囲内でのひとコマですが、人間ほど理性を持たないペットたちにはくれぐれも最悪の場合を考えてあげれば、熱中症に限らず、多くの病気を予防できるのではないかと思います。

                          文:獣医師 小川篤志


固定リンク | 2008年07月13日【14】

[1]    «    116  |  117  |  118  |  119  |  120  |  121  |  122    »    [123]

- 管理用 -

最近の記事

月別記事