トピックス
最近の記事
「今週の症例」・ その28
症例28 8歳トイプードル
数ヶ月前から持続する片側の外耳炎を治療中。培養検査にて細菌培養は陰性、マラセチア(Malassezia)が認められた。耳道内の洗浄及び投薬を実施するが改善されず。耳を気にする様子が悪化し、耳鏡検査にて鼓膜の腫脹が認められたため、中耳炎の有無を判断するためにCT検査を実施した。CT検査の結果、耳道内の液体貯留は外耳道に限局しており、中耳炎の所見や内耳の異常は認められなかった。また耳道の狭窄など外耳炎の治療を妨げる器質的異常も認められなかった。中耳炎の場合には外科的な鼓室胞切開や洗浄が必要になるが、本症例は外耳炎のみで中耳は正常と分かったため、外耳炎の治療に専念でき、その後外耳炎も良好にコントロールできるようになり、治癒した。
固定リンク | 2021年03月08日【450】
「今週の症例」・ その27
症例27
16歳 ミニチュアダックスフンド
半年ほど前からの鼻出血を主訴に来院。止血剤や抗生剤の対症療法で一時は改善していたが、最近に立って再び出血が認められた。
レントゲン検査にて左鼻腔内の不透過性亢進を認めたため、CT検査を実施。
CT検査では左鼻腔内に腫瘤病変と鼻汁の貯留があり、鼻甲介や鼻中隔の骨の一部溶解を認めた。また、前頭洞内にも液体貯留が認められた。
CT検査初見からは悪性腫瘍が強く疑われた。CT撮影終了後続けて細胞診と組織検査、細菌感染を調べる培養検査を実施した。
培養検査では細菌感染は認められず、細胞診・組織検査でも慢性化膿性鼻炎、一部で異型性のある上皮細胞集塊を認めると判断された。
総合的に鼻腔内腺癌の可能性が高いと判断した。
犬の鼻腔内腺癌には放射線治療が有効である可能性があるが、県内で放射線治療ができる施設がないため実施不可能。犬の鼻腔内腺癌は比較的進行が遅く、本症例は16歳と高齢であるため、外科手術などは行わず対症療法で経過観察となった。
レントゲン 赤線:左鼻腔内に不透過性亢進を認める
CT 赤線:左鼻腔内不透過性亢進 青矢印:鼻甲介の骨融解
CT 赤線:左鼻腔内不透過性亢進 青矢印:鼻甲介の骨融解
CT 黄色:左前頭洞内の腫瘤病変
CT 緑線:前頭洞内液体貯留
固定リンク | 2021年03月07日【449】
「今週の症例」・その25&26
症例25
13歳 雑種猫
嘔吐を主訴に来院。初めの症状は数日に1回の嘔吐と食欲減退で、血液検査でも異常が見つからなかった。胃酸分泌抑制薬や制吐薬、処方食で一時症状は軽減したものの次第に嘔吐の頻度が1日4-5回まで増加。超音波検査で胃壁の肥厚を認め、麻酔下の細胞診(針を刺して細胞を採り細胞を調べる検査)でリンパ腫(B細胞)と診断された。抗がん剤治療を行い、一時は胃壁の厚さも正常に近づき、嘔吐もほとんどなくなって食欲もあったが、抗がん剤治療開始3ヶ月に抗がん剤を投与してもコントロールできなくなり、亡くなった。
症例26
7歳 雑種猫
嘔吐と食欲不振を主訴に来院。バリウム造影を行い、胃から十二指腸への通過障害を認めた。精査のためにCT検査を実施。CT検査では胃の幽門から十二指腸にかけて腫瘤病変が見られ、周囲のリンパ節が腫大していることも分かった。内視鏡検査にて胃の生検(組織の一部を取り細胞を調べる検査)を行い、リンパ腫(B細胞)と診断された。飼い主様は抗がん剤治療を希望しなかった。
症例25 抗がん剤治療前の超音波検査 胃壁の肥厚が認められる
症例25 抗がん剤治療中の超音波検査 胃壁の肥厚が改善している
症例26 CT検査 幽門の腫瘤病変が認められる
症例26 CT検査 十二指腸の腫瘤病変が認める
固定リンク | 2021年02月26日【448】
最近の記事
- 「今週の症例」・ その28
- 「今週の症例」・ その27
- 「今週の症例」・その25&26
- 「今週のCT症例」番外編・内視鏡
- 「今週のCT症例」・その24
- 2020年6月1日、改正動物愛護法施行
- 犬猫の新型コロナウイルス(Covid-19)感染の最新情報:世界で7事例
- 「今週のCT症例」・その23
- 「今週のCT症例」・その22
- 「今週のCT症例」・その21
- 歯周病見て見ぬ振りしていませんか?
- 第16回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2020)に参加してきました
- 「今週のCT症例」・その20
- 「今週のCT症例」・その19
- 「今週のCT症例」・その18
- 「今週のCT症例」・その17
- 「今週のCT症例」・その16
- 「今週のCT症例」・その15
- 「今週のCT症例」・その14
- 「今週のCT症例」・その13
月別記事